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二次元NLCPに愛を注ぐブログ (苦手な方はダッシュで逃げてください)
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なんか四字熟語ってやたらイーピンに言わせたくなるよね(*^V^*)←いきなり何なの。
そんなわけでほんとにやってきました。

まぁ駄文放置してそのまま帰ります。
今日話したいことはさっき話したので(笑)


ってな感じでいってみよー!!

 
 


ぽすり。
 
 
何かが頭に被さってきて目の前が真っ暗になる。
 
――それがいつも彼の身に付けている帽子で、彼により意図的に被せられたことに気付くのは暫くかかった。
 
「……?」
「…貸してあげる」
「え、なんで、」
 
別にいいよ、と言いかけたが、帽子を更に深く被せられて出かけた言葉も引っ込んでしまった。
 
目の前に見えるのは帽子のつばと、少し下を見れば彼のスニーカーの爪先のみ。
彼の顔色は全く窺えなくて、それ故彼の意図さえ見当がつかなかった。
 
「「…」」
 
沈黙が訪れる。
今私の耳に届くのは、遠くから聞こえてくるボールを打つ音と、男子テニス部の掛け声。それだけだった。
 
ここは校内と言えど人通りがあまりなく目につきにくい場所で、私が練習によく使う場所だった。
今日の女テニのメニューは自主練習。だからいつものようにここで練習に打ち込んでいたわけで、
そこに突然現れたのが彼。
――そして彼のこの行動、なのだが。
 
ことの経緯を思い出して更に疑問符を浮かべる。
何故彼がここにいる、のか。
掛け声が止まないことを考えると、当然男テニはまだ活動中なわけで。それをわざわざ抜け出して私のところにいる彼は、一体。
確かに休憩中であれば度々来てくれたけれど、こんなことは初めてだった。
 
 
 
 
(……ま、さか)
 
私なりに考えて行き着いた結論。
『それ』は余りに自惚れすぎたので、そんなわけないと予め自分で釘を刺した。
 
(だって、まさかね)
 
彼が知ってるはずないもの。
 
 
それ以上は考えられず、私は再び意識を状況判断に切り替えた。
 
 
――暮れかけの、赤に近いオレンジ色の夕陽が二つの長い影を作り出している。
それが見えて私は彼との距離が思ったよりも近いことを知り、同時にじんわりと頬が熱くなるのが分かった。
 
どんな状況でも、彼が近くにいるだけで私の心臓は簡単に音を立てるのだ。
 
私はその羞恥を紛らわすべくなんとかして彼の表情を窺えないものかと試行錯誤してみた。が、帽子のつばを手で押さえ付けられているのでやはりそれは叶わない。
 
――彼は変わらず黙り込んでしまったまま。
 
その沈黙を破るのには勇気が要ったが、このどうしようもない状況を打破しないわけにはいかない。
仕方がないので私は遠慮がちに彼の名を呼んでみた。
「…えと、リョーマ、くん…?」
「…見てないから」
「え?」
 
ようやく口を開いてくれた。しかし、その言葉は余りにわけの分からないものだった。
 
――分からない、けど。
 
その声色が真剣なことくらいは直ぐに分かった。
 
 
彼は少し間を置いて、ゆっくりと話し始める。
 
「誰も見てない。…俺も、見えてないから」
「…何、が…」
「だから…
 
 
 
 
 泣 い て い い よ 」
 
 
 
 
深く被せられた帽子の下で、私は目を有らん限りに見開く。
彼の行動の意図は、思いもよらないところにあった。
 
(…そんな、わけ)
 
ない。彼が知ってるはずがない。
 
その結論は余りに自惚れだったはずだ。
 
なのに、なん、で。
 
「…知って、るの…?」
「いや?…アンタに何があったかなんて知らないケド」
「っ、じゃあっ」
「自分が分かりやすいこと自覚したら?」
 
言葉を失う。
まさか『分かってない』のに、『気付かれる』とは思わなかった。
――気付かれないように、頑張っていたから。
 
 
笑えているつもりだった。
いつも通りの、つもりだった。
 
でも彼には一目見ただけでバレてしまった。
――違う。
気付いて、くれた。
 
果たしてそれがどうしてか、なんて、今の私には考えられないけれど。
 
 
『泣いていいよ』
 
 
頭の中で繰り返される優しい言葉。
 
徐々に目頭が熱くなって、息が苦しくなってくるのが分かった。
 
「……ぼ、帽子、濡れちゃうよ…?」
「…別にいいよ」
「………」
 
なんで…なんで。
 
 
どうして、彼は。
 
 
 
 
「っ………」
 
 
 
 
 
 
ぱたり。
 
 
一粒の涙が地に落ちる。
やがてそれは止めどなく溢れてきて、彼の帽子はじわりと涙で濡れていった。
――心臓が痛くて、苦しい。喉の奥が焼けるように熱くて、自然と過呼吸になるのが分かった。
 
きっと顔なんか既にぐちゃぐちゃだ。それを考えると、被せられた帽子のありがたみが――その彼のさりげない優しさが痛いほどに感じられる。
それが更に泣けてきてしまうところでもあった。
 
 
彼の優しさが、嬉しくて辛い。
 
 
彼は先程から一つも言葉を発しようとはせず、私の涙に対する疑問も、慰めの言葉もないまま。
ただただ私のそばにいて、自分の所有物である帽子を被せていてくれるだけだった。
 
 
それがどれだけ救いになっているかを、私は知ってる。
 
だけどそれがどれだけ私の胸を締め付けているかも、私は知っていた。
 
 
 
――遠くから聞こえてくる、ボールの音と掛け声。
太陽はゆっくりと沈んでいき、辺りはだんだんと暗くなっていく。
二つの影は伸びたまま、闇に消え入りそうになっていた。
 
 
 
 
涙は、まだ渇きそうにない。
 
 
 
 
不器用な彼の優しさ
 
 
(その優しさが、愛しくて悲しくて切なくて)






初晒しのリョ桜SSがこんな切なめ路線だなんて誰が思ったか。(ほんとにね)
思ったよりリョ桜してないなー。
桜乃ちゃんに帽子被せる王子が書きたかった、んだけれ、ど、も…;

桜乃ちゃんには一体何があったのでしょうか…そこは敢えてご想像におまかせします^^←
でもきっと朋ちゃんとケンカ、とか、女子にいびられた、とかその辺かな…
桜乃ちゃんはどんなに悲しくても涙を隠す子だと思うので。
だけど王子だけはそれに気づいてあげられたら良いなーと思うのです。

…ごめんなさい、切ないの大好物です。
でも今度は甘ーいのが書きたいな…!


…といいつつ今はこの話のリョーマ視点を書いてます。←
だって桜乃視点書いてたらリョーマ視点も書きたくなっちゃったんだもの…!
次回はそれUPになると思います。間は空くと思うけど;


なんだかんだ言いましたが自分ではそれなりに気に入ってたりする作品だったり。
誤字・脱字あったらこっそり教えてくださいませ…!(笑)

それでは、お粗末様でした。
読んでくださった方ありがとうございます*^^*
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